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労働組合について

組合活動の法的根拠について

 働くためには、私たちは経営者に使用されることになります。人が使用されて働くことが雇用であり、雇用は法制度の下では契約関係です。契約であれば、対等・平等という契約の原則が雇用関係の基本となります。

 しかし、実際には雇う側と雇われる側には、契約内容について交渉する力に格段の差があります。過去には、日本も含めて現在先進国といわれているどの国でも、低賃金・長時間労働という重労働が法的に正当化されていました。法人・組織と個人との間では、その契約内容が平等な立場になることは極めて困難なものです。

 そこで、雇用契約の不均衡を克服するために、先進国では二つの方法が採用されてきました。一つは国による保護です。具体的には、労働法などの法律を作って保護することです。二つ目は労働組合です。一人の個人としてではなく、労働側が団結することによって対等な契約交渉が行われる状態をつくることです。

 労働法とは、労働関係および労働者の地位の保護・向上を規整する法の総称です。すなわち、働くことに関するたくさんの法律をひとまとめにして「労働法」と呼んでいます。日本の労働法の本格的な形成は、第二次世界大戦後に始まり、労働三法を中心に独自の法分野として確立されてきました。その後は、主として裁判所の判例法理などを取り込んで、労働法の体系を整備していきました。

 日本において、労働関係の代表的な法律である、労働組合法労働関係調整法労働基準法を「労働三法」と呼んでいます。

 労働組合法の目的は、その第一条に「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成すること」とうたわれています。後に公布される日本国憲法28条で、労働三権・労働基本権といわれる団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)が保障されることになります。

 労働関係調整法は、労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防し、または解決するための手続きを定めた法律です。争議行為が発生して社会生活に影響を与えるような場合には、労働委員会による裁定を行うことを規定しています。

 労働基準法は、憲法27条「労働権」の規定に基づいて制定された労働者のための保護法であり、労働条件の最低基準を定めた法律です。

労働組合の意義

 このように、たくさんの法律による保護によって労働者の立場は会社と対等になるようにされています。逆に言えば、たくさんの保護がなければ対等とならないくらい労働者の立場は弱いものです。

 したがって、“残業代がつかない”などの違法な扱いを受けた時に、個人で会社に意義を申し立てることは大変な勇気と労力が必要となる場合があります。会社の専権事項である人事権を乱用して“人事考課”“人事異動”“解雇”などの不当な措置を取られた場合には対処することが非常に困難となるからです。

 労働組合があれば、日ごろ抱いている“小さな疑問”から“大きな問題”まで労働者の立場に立った相談を受けたり、解決の道を開いたりすることができます。

 また、会社にとっても“不満”や“疑問”があった時に、労働者個人で溜め込まずに労働組合を通して速やかに情報として入る仕組みがあれば、風通しの良い安心して働くことの出来る職場を作ることに寄与するものとなります。

力の源は“団結”

 労働の問題を解決するには、誰でも最初は不安が伴います。しかし、その不安を経験した者だからこそ親身になって解決のための力となることができるものです。そして今度はその経験が他の人の助けとなることができます。こうして労働組合に加入した人たちのつながりと経験値が交渉力を高めていきます。

 また、“意見”や“要求”が“組合員の総意”であっても少人数のものであれば言葉の重みを欠くものとなりかねません。労働組合への高い加入率と、たくさんの組合員の団結によって支えられてこそ、安心して働くことのできる職場を形成することができます。